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地図太郎Liteを活用した探究ポスター作りとその評価について
2023.04.07
光英VERITAS中学校・高等学校 社会科・地歴公民科 松村 詠美 先生
2023年2月27日インタビュー
「答えを求める学びから問いを持つ学びへの変革」を合言葉に、探究的な学びを軸とする「VERITASトルネードラーニング(学校教育全体で取り組む探究的な学びのサイクル)」を実践し、「人・社会・自然に貢献する、地球を守る自覚と実践力のある次世代リーダー」の育成を目指す光英VERITAS中学校・高等学校。
URL:https://www.veritas.ed.jp/
そこで社会科・地歴公民科をご担当されている松村詠美先生(専門は日本史学)。
昨年4月から地図太郎Lite for Educationを導入いただき、高校1年「地理総合」の授業の多くの場面で利用いただいています。
「生徒が自ら学び続ける力を伸ばしたい」という考えのもと、協働的な学習による生徒の活動時間を積極的に取り、また、生徒の自己調整の力を伸ばすために、振り返りツールとしてルーブリックを活用するなど、探究的な学習を通し生徒の主体性や課題解決能力を伸ばす授業を実践しておられます。
今回は、松村先生に地図太郎Liteを利用した授業の取り組みや生徒の反応、利用された感想などお話しいたただきました。
1:「地図太郎Lite for Education」の授業での利活用方法
3:「地図太郎Lite for Education」の今後の利活用・生徒への期待
「地図太郎Lite for Education」の授業での利活用方法
―――地図太郎Liteを使ってどのような授業を実践されましたか
これまでに3つの段階に分けて取り組みました。
まず、今昔マップと現在地形図を比較し変遷について学習をしました。
次に好きなレイヤーを2つ重ねて自由に考察をしました。生徒は、多岐にわたるテーマを自分たちで設定し、楽しそうに考察していました。
最後に探究学習です。仮説を検証するためのデータリソースとして、地図太郎Liteを活用しました。
―――探究学習の概要(学習活動とその狙い)を教えてください
「経済成長と人々の生活」に関する探究ポスターを作成しました。追究事例として、アメリカ・東アジア・ヨーロッパの3つの地域から一つを選び、グループで立てた仮説について、データを根拠に検証することに挑戦しました。狙いは、人間の経済活動と、地理的歴史的条件のつながりを考察することです。
どんなテーマを設定しても、生徒は地図太郎Liteで関係するデータを探せていたようで、活動のモチベーションにつながっていたと思います。
△実際の授業の様子、生徒が製作した探究ポスター
↑クリックするとPDFが開きます。
生徒の反応と成果、評価における工夫
―――地図太郎Liteを使用した生徒の反応はいかがでしょうか
最初に今昔マップ観察をしたときは、操作に慣れるのに必死だったのか、思った以上に反応が薄く、驚いた記憶があります。それが、2つのレイヤーを重ねて考察する時にはペアで活発に話し合うようになりました。
探究ポスター製作の時も、「どんなデータを使う?」といった話し合いが自然に進んでいったので、やはり、子どもたちの適応力の高さを感じました。
―――地図太郎Liteはどんな場面で効果的でしたか
「オリジナル主題図」を、直感的に素早く作成できるところが強みだと思います。地理総合では、雨温図やGDPやGNPなど様々なデータの読み取りが求められ、教科書の中ではそれらのデータを受身的に読み取ることになりがちです。しかし、地図太郎Liteは、自分たちで必要なデータを自分で見つけ重ねて考察できるため、仮説検証をする探究的な学習にも向いています。データに対して主体的な姿勢を身に付けることができますし、視覚的に理解できるので対話が生まれやすいです。
「個別最適な学び」と「協働的な学び」のどちらも叶えてくれるツールだと感じました。
△授業でのひとコマ(生徒たちが話し合っている様子が伺える)
―――探究的な学習における評価の工夫や方法を教えてください
「生徒が自ら学び続ける力を伸ばしたい」と考えていることから、生徒の自己調整力を伸ばすために、振り返りツールとしてルーブリックを活用しています。
探究ポスター作成においてもルーブリックを授業冒頭で提示し、経済発展の背景・影響・今後の課題の3点についての考察を求めました。
これを利用することで今回の活動ではどこにポイントがあるのか授業を通しどんな力を身につけて欲しいのかが生徒と共有できるため、指導もしやすいです。
―――ルーブリックの活用による生徒たちの変化について教えてください
授業は自分が説明する時間はできる限り短くして生徒の活動時間に充てる回も多いですが、ただ活動するのではなく、生徒自身が明確な目的に向かって活動できるようになり、自己評価を通し「わかったこと、できるようになったこと」だけでなく、「改善すべきこと」を判断できるようになります。
そのため、自然と授業での集中力も高まります。また、グループ活動の中で目標に向かってより協働的に話し合うシーンが多く見られ、ポスター作成中にも何度もルーブリックを見返して方向性が逸れていないか確認している生徒もいました。
△生徒たちがルーブリックによる自己評価に取り組む様子
△実際のルーブリック
「地図太郎Lite for Education」の今後の利活用・生徒への期待
―――地図太郎Liteを今後活用してみたい授業があれば教えて下さい
今後は、地理総合の3つの柱の一つである、防災分野で地図太郎Liteを活用したいです。学校近辺の危険箇所を撮影し、位置情報を持つ画像を読み込んでオリジナルハザードマップを作れたらいいなと考えています。
また、歴史総合とのクロスカリキュラムとして、関東大震災をテーマに、今昔マップやプレートのレイヤーを活用して持続可能な街づくりについて考えてみたいと思います。
―――生徒達に期待すること
将来、GISをはじめ多くのデータや情報に日常的に触れ、関わる機会がこれまで以上に増えていくと思います。その時に、自分の人生をより豊かに幸せにするためにも、データを適切に読み取り、活用できるようになって欲しいです。
こちらのインタビューの様子は以下の動画でご覧いただけます。
実際に授業で利用した生徒さんへのインタビューや、授業風景も撮影しています。