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初めて触れるWebGISでの研究授業
~ヨーロッパで日本料理店を出店したい!~

2022.01.25

流通経済大学付属柏高等学校(地歴公民科)佐藤良尚先生
2021年12月21日インタビュー

流通経済大学付属柏高等学校 (地歴公民科)佐藤 良尚先生

 

「一人ひとりの可能性を大切にする」教育を行い、社会のグローバル化、IT化、環境問題の深刻化等の変化に柔軟に対応できる人材の育成を図る流通経済大学付属柏高等学校は、全国屈指の強豪であるサッカー部をはじめ文武両道の活躍で高い実績を誇る学校です。

また、2023年4月からは付属中学校の開設を予定しており、ますます将来を見据えた未来創造型教育を志向する一貫校となることが期待されています。

URL:https://www.ryukei.ed.jp/

 

今回インタビューしたのは地歴公民科主任の佐藤良尚先生、ご専門は日本史とのこと。

2021年10月から地図太郎Lite for Educationを利用いただき、GISを活用して地理的事象と人間生活を多角的・空間的に捉え、主体的に考える能力を身につけさせる授業を実践しておられます。

昨年の11月18日には「千葉県私立中学高等学校 第32回地歴公民科研修集会」において地図太郎Liteを利用した地理の公開研究授業も実施されました。その授業の内容や生徒の反応、利用された感想をお伺いしています。

 

1:「地図太郎Lite for Education」の授業での利活用方法

2: 生徒の反応と成果

3:「地図太郎Lite for Education」を利用した感想

 

 

「地図太郎Lite for Education」の授業での利活用方法

---地図太郎Liteを使ってどんな授業をされましたでしょうか?

「ヨーロッパで日本料理店を出店するにはどこがよいか」をテーマに、ヨーロッパ各地の地理的特色と人々の生活との関連性を考察する授業を実施しました。生徒には店の経営者や従業員になったつもりで、最も利益の得られる日本料理とその出店場所を考えさせ、その地理的根拠を明示するために「地図太郎Lite」を活用してもらいました。はじめは個人で調べ、次に5・6名のグループで議論を行い、1つの意見に集約したものを発表するという流れでした。


---授業の概要(学習活動とその狙い)を教えてください。

ヨーロッパ地誌の授業の内容をふまえて、人間生活と地域社会のより良い在り方や、持続可能な社会の実現に向けてどのように対処すべきかを主体的に考えさせること。また、食文化の差異を理解し、問題解決のための手段を発見することを目標としました。評価としては、WebGISを操作し様々な地理的データを重ね合わせて、テーマに沿った的確な答えを導き出せるかなどを、主体的な学び・対話的な学び・深い学びの観点から3つの項目を設定しました。

―授業案を拝見させていただきましたが、こんな授業受けてみたい!と思ってしまいました。地図太郎Liteのコンテンツをフル活用しているという印象を受けます。

 

実際の授業案

研修授業の際に佐藤先生が作成された資料を2つご紹介致します。(PDFファイル形式)

学習指導案

今回の研究テーマで生徒さんがWebGISの項目で何をどう調べたかの集計資料

 

---地図太郎Liteを授業で活用されようと思われたのはなぜですか。

来年度から開始となる「地理総合」の授業を見据えて、本校でもGISの導入を本格的に検討していました。私自身もGISを授業で活用するのは初めての試みでしたが、日々多忙な教員が手軽に操作を習得して生徒に指導することができ、また生徒自らが進んで活用できそうなGISを探していたところ、「地図太郎Lite」を見つけました。せっかく導入するのなら、「地理総合」の「地図と地図情報システム」の単元だけでなく、様々な単元で活用したいと考え、今回のような地誌の授業でテーマとその解決のために利用しました。

 

---先生は日本史がご専門とお伺いしましたが地図太郎Liteを触ってみていかがでしたか。

地理の授業に不慣れな先生でも「地図太郎Lite」は操作が簡単で、生徒の主体的な学びを支援するツールとして十分に活用可能だと思います。また、「歴史総合」や「公共」のような総合科目の学習にも応用できるのではないかと考えています。

例えば、新旧の地図を比較させ、東京の歴史を地理的背景から考察したり、古代から近現代の戦争の歴史をテーマに、なぜこの地域で紛争が勃発したのかを地形や気候などの関わりから考えさせたり。いくつもの地理的条件が重なって具体的な事象が起こるという一連の流れを、「地図太郎Lite」を使えば生徒が空間的に把握できるようになると思います。

 

 

 

生徒の反応と成果

グループワークの様子

△グループワークの様子

 

---地図太郎Liteを使用した生徒の反応はいかがでしょうか?

はじめて触るWebGISを生徒がすぐに活用できるかが不安でしたが、授業以外でも生徒が積極的に「地図太郎Lite」を活用していたようで、導入からわずか2週間で、レイヤーを重ねてみたり、グラフ表示を工夫したりと、どんどん技術が上達していきほとんどの生徒が私以上に操作に慣れていたことに驚かされました。

 

---地図太郎Liteを活用したことでどのような学習効果が得られたでしょうか。

普段の授業ではなかなか見られない、生徒の主体性や積極性が見られました。

また、調べた地理的情報をまとめ発表させることで、生徒がどのように考えて結論を導き出したのかがはっきりと見え次回の授業計画に役立てることができました。地図帳とは違い、「地図太郎Lite」は瞬時に様々なデータを表示できるので、より空間的に地域を理解し、深い学びへとつなげることができたと思います。

 

 

 

「地図太郎Lite for Education」を利用した感想

地図太郎Liteをスクリーンに映し、生徒が発表する様子

△地図太郎Liteをスクリーンに映し、生徒が発表する様子

 

---地図太郎Liteを使って良かった点・改善点など率直な感想をお聞かせください。

良かった点は、操作が簡単で生徒たちにも馴染みやすいところです。本格的なGISと比べればデータ量や機能は劣りますが、中学・高校の学習に活用するのであれば「地図太郎Lite」のデータや機能で十分な学習効果が得られると思います。ICT環境の授業に慣れている生徒にしてみれば、多少機能に物足りなさを感じるかも知れませんが・・・。改善点としては、世界や日本の統計データをもっと充実させてもらいたいというところでしょうか。今回は食文化がテーマでしたが、食材として鶏肉・鶏卵の生産量等のデータがなかったのは残念でした。

 

---これからどのように地図太郎Liteを活用していきたいかお聞かせください。

次年度からはじまる「地理総合」の授業だけでなく、他の地歴公民科目でも積極的に活用できるよう授業計画を立ててみようと思いました。本校では2023年から中学校を開設する予定であり、現在は中学校の社会科のカリキュラムを検討しているところです。中学校の授業でも「地図太郎Lite」を活用していきたいと思っています。

 

―――本日はありがとうございました。

 

 

 
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